食卓コラム アターブル

"こそ"を付けてこそ人生。

総料理長 芳賀英明

『"こそ"を付けてこそ人生。』

料理人になって常に心に留めている言葉です。


実はコレ、私が結婚した際に祝辞をしていただいたお寺のご住職の言葉なのですが、
これまで幾度となくこの言葉に助けられました。


「あなたがいるから"こそ"」


「みんながいてくれるから"こそ"」


夫婦や恋人、親子だけでなく、仕事でもすべてに言えるんですよね。


料理人として見習い中の辛かった時も、

上の立場に就き重責を感じ始めた時も、

そしてもちろん今も。


この言葉を自分に言い聞かせながら、前向きにやってます(笑)。

色々な人に支えられているから"こそ"生きていられる、
それを自分で感じ、感謝しなさい、ということですね。


そしてもうひとつ、私には座右の銘があります。
この世界に入ってすぐ料理長に言われた言葉

「素直になれ。」

・・・聞く耳、見る目が柔軟であることは年齢とともに難しくなりがちですが、
できれば"生涯素直"な料理人でいたいものです。


ホテルオークラ東京ベイ 取締役総料理長 芳賀英明

技だけじゃない。料理人には"ピピッ"が大事ですね


芳賀英明

よく取材を受けると


「ムッシュはどうやって料理を考えるんですか?」


と聞かれますが、私は決まって


「あまり考えません」


と答えるんです。
昔からジーッと座って考えるのが苦手なタイプで、
部屋でノートを開いたまま長時間メニュー作りに専念するということが不得手なんですね。

だから気づくと食材探しにフラフラ出かけてしまったり・・・

スタッフには迷惑をかけてます(笑)


冒頭の質問の答えがひとつあるとしたら、
それは "ひらめき" かもしれません。


寝ている時

車を運転している時

孫と遊んでいる時


仕事から離れた時間に "ピピッ" と浮かんだ
新しい遊び心を加えて、今までにない何か

"something new" をお届けできればと思っています。


10/16~10/18に登場する『プロローグ』もそのように作りあげた料理が揃います。
ご夫婦やお友達、大切な方と過ごす秋のひとときにご利用いただけたら嬉しいです。

ホテルオークラ東京ベイ 取締役総料理長 芳賀英明

毎年楽しみにしている、泥の付いた夏のご挨拶。

夏と言えば、枝豆とビールの黄金コンビですね。

以前、焼酎にハマッていると言いましたが、やはり枝豆にはビールがよく合います。
私の叔母が山形で農業を営んでいるのですが、その叔母から毎年夏になると泥付きの自家製「だだちゃ豆」が送られてくるんです。

これが届くと”夏だ!ビールだ”の知らせ(笑)

自分で泥を落とし、枝からサヤをカットする作業も楽しくてね。
だだちゃ豆は通常の枝豆より甘味があり、しっかりと濃厚な豆の味がして一度食べたらクセになりますよ。

それと同様に、我が家の夏の食卓に常連で登場するのが、千葉県白浜で育った空豆。
塩ゆでしても、焼いても美味です。

大事に、丁寧に育てられた季節を伝える日本の恵みを、なるべく素材そのままの味を生かした状態でいただく。
これぞ本当の贅沢だと思います。

さて、そろそろ叔母からだだちゃ豆が届く頃。
首を長くして待っております。

ホテルオークラ東京ベイ 取締役総料理長 芳賀英明

フランス料理シェフも、塩辛と焼酎の夜に酔いしれます。

ホテルオークラ東京ベイ 取締役総料理長 芳賀英明

私にとって至福の時。
それはやはり仕事を終え、帰宅してからの晩酌時間です。

着替えて食卓に着くと、家人による手作りのイカの塩辛や佃煮をつまみながら、お気に入りの酒を呑むのは格別です。

以前は日本酒が殆どでしたが、九州出身の娘の旦那の勧めもあり、最近は芋焼酎にハマっています。
彼曰く、九州の人は真夏でも芋焼酎はお湯割が常識!
香りが立って、焼酎も肴もいちだんと美味しく感じるからだそうです。

確かに違いますよ!
心のこもった料理と旨い酒を味わいながら一日に感謝する・・・これぞ贅沢です(笑)。

フランス料理をご提供する人間でありながらも、私もやはり日本人ですね。

ホテルオークラ東京ベイ 取締役総料理長 芳賀英明

南イタリアでついに見つけた、料理人・芳賀の夢


以前、単身でイタリアの有名レストランにフェアの商談に行った話です。向かった先は、サンタガタという町にある「ドン・アルフォンソ1890」。
オーナーシェフのアルフォンソは「店の料理を全て食べなければ打ち合わせはできないよ」と。
それから丸3日間、朝昼晩ほぼ店に缶詰ですよ。
正直きつかった・・・外は自然豊かな南イタリアですよ!(笑)
晴れて4日目に開放され、自家農園に案内してもらいました。

これが最高の一言!
昨日までの試練が感動へと変わり「私が奮闘していた料理は、ソレント半島の崖の上にある眺望も美しいこの畑で大切に育てられたものだったんだ!」と。

これが同じシェフとして、私が自分の理想のスタイルを見つけた瞬間です。

ホテルオークラ東京ベイ 取締役総料理長 芳賀英明